「働き方改革」派遣労働者の同一労働同一賃金~派遣先均等・均衡方式~
派遣労働者の「同一労働同一賃金」の基本的な考え方は、パート・有期雇用労働者と同様ですが、労働者派遣という特性から、その取組みの方法には派遣先均等・均衡方式と労使協定方式との2方式 があります。
今回は、派遣先均等・均衡方式をみていきます。
派遣労働者の同一労働同一賃金~派遣先均等・均衡方式とは?~
派遣先均等・均衡方式とは、派遣労働者について派遣先企業の通常の労働者との比較し、以下と考えます。
- 均衡待遇:不合理な待遇の相違を設けることの禁止 (派遣法30条の3第1項)
- 均等待遇:正当な理由のない不利な待遇の禁止 (同条第2項)
上記の方法では、派遣会社と派遣先企業での派遣料金の交渉や派遣契約の締結に先だち、派遣会社では必要な待遇の情報について派遣先企業から提供を受け、派遣労働者の待遇の検討・決定を行う必要があります。
このため、改正派遣法では、派遣先企業に対しては自社の労働者の待遇に関する情報を派遣会社に提供することを義務付け、また派遣会社に対しては派遣先企業から当該情報について提供がない場合は、派遣契約を締結してはならないと定めています。(法26条7~10項)
派遣労働者の同一労働同一賃金〜派遣先会社がするべき事とは?~
派遣会社が派遣労働者の待遇決定に必要な情報を得るには、派遣先企業が比較対象となる労働者を適正に選定しなければならず、選定基準の順序は、派遣則24条の5に定められており、派遣先企業が雇用する労働者全体の中から比較します。
- 職務の内容と職務の内容・配置の変更の範囲が派遣労働者と同一と見込まれる通常の労働者
- 職務の内容が派遣労働者と同一であると見込まれる通常の労働者
- 業務の内容、責任の程度のいずれかが派遣労働者と同一の通常の労働者
- 職務の内容及び配置の変更の範囲が派遣労働者と同一の通常の労働者
- 1から4までに相当するパート・有期雇用労働者
- 派遣労働者と同一の職務の内容で業務に従事させるために新たに通常の労働者を雇い入れたと仮定した場合における当該通常労働者
といった6段階の順序で選定する必要があります。
比較対象労働者の選定後、派遣先企業が提供する労働者の処遇に関する情報は、以下の1から6の内容について、書面の交付、ファックス・電子メール等で提供することになります。
- 比較対象労働者の職務の内容
- 当該職務の内容 及び配置の変更の範囲並びに雇用形態
- 比較対象労働者を選定した理由
- 比較対象労働者の待遇のそれぞれの内容(昇給、賞与、その他の主な待遇がない場合も含む)
- 比較対象労働者の待遇のそれぞれの性質及 び当該待遇を行う目的
- 比較対象労働者の待遇のそれぞれを決定するに当たって考慮した事項(派遣則24条)。
なお、労使協定方式の場合にも比較対象労働者の処遇情報の提供は必要ですが、その内容は異なり派遣先から待遇の情報を得て待遇を検討・決定することはとても重要といえます。