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判例~対象外の間接的なパワハラを認定~

    
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判例~対象外の間接的なパワハラを認定~

医療機器販売会社に勤務していた50〜60代の女性社員4人が、代表取締役Yから退職を強要するような言動などのパワーハラスメントを受けて退職に追い込まれたとして、会社とYに慰謝料等の損害賠償を求めました。

この判例で注目すべきは、Yの言動はパワハラに当たると認定し、Yの言動を見聞きして退職した女性についても間接的に退職を強要されたと東京高裁が認定したことにあります。 

【 F社事件   東 京 高 等 裁判所 (平29・10・18判決) 】

間接的なパワーハラスメントが認められた内容とは何かみていきましょう。

間接的なパワーハラスメントを認定。その内容とは?

Yが代表取締役に着任したのは平成25年4月。当時、同社従業員30数名のうち女性従業員X1〜X4の4人(48歳〜58歳)のみでした。代表取締役のYが従業員へのパワーハラスメントの内容とは以下となります。

  • X1の場合は、前代表取締役の交際費の支出について適切な経理処理をしていないとし、会社としては刑事事件にできる材料があり訴えることもでき、その権利を放棄していない。また、X1の給与が高額過ぎる。50歳代の社員は会社にとって有用でないといい、賞与を正当な理由なく減額しました。
  • X2の場合は、X1と同様に適切な経理処理をしていないとし、長時間にわたり批判、非難を続け、X1と同様に賞与を減額、係長職を解く降格の懲戒処分を行いました。
  • X3、X4の場合は、直接的に侮辱的な言動などはありませんが、X1〜X3は話し合って退職することを決め、X4も一人で勤務を継続することは困難と考え退職することにしました。

退職後、X1〜X4は、Yからパワハラを受けたとして、会社とYに対して慰謝料等の支払いと会社都合退職として計算した退職金との差額の支払いなどを求めて提訴します。

裁判所は、Yのパワハラ行為が、X1、X2に退職を強要する違法な行為(不法行為) であると判断するとともに、直接退職強要を行っていないX3、X4についてもその認定をしX1~X4に慰謝料や差額退職金などの支払いを命じました。 

直接的だけではないパワーハラスメント防止法適用に留意

東京高裁は、X3、X4について、X1、X2と同じ職場で働く中で2人に対するYの言動を見聞きしており、今後自分達にも同じような対応があると受け止めることは当然であり、いずれ同じように退職を強いられるであろうと考え、抵抗することを諦めて退職したと判断します。X1、X2への退職強要行為が間接的にX3、X4にも退職を強いる不法行為とされたわけです。

この判例は、個別事案の判断と考えるべきですべての事案にあてはまるわけではないのですが、X1~X4の関係性が密接であったことなど、特徴的な点もあり従業員の関係性によっては、パワハラを直接受けた対象者以外の従業員についても、会社が不法行為の責任を負う可能性が示された点はとても重要だと考えられます。 

 2022年4月からは、中小企業に対してもパワハラ防止法が適用されることになっていますので、十分に留意し対応を考えていく必要があるといえます。

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