「令和3年版 過労死等防止対策白書」からわかる、自動車運転従事者・外食産業の実態
厚労省が令和3年版「過労死等防止対策白書」を公表しました。
同白書は、過労死等防 止対策推進法(平成26年法律第100号)第6条に基づき、国会に毎年報告を行う年次報告書で、過労死等の概要や政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況などを取りまとめたものです。
医療・福祉の業種で新型コロナ感染拡大の影響
労働時間等の状況では、令和2年の週労働時間80時間以上の雇用者数は、「医療、福祉」 の業種で、3~6月、9~11月で前年同月を上回りました。
肉体的・精神的負担が大きいと回答した労働者の割合は、男性よりも女性が高く、「医療業」「社会保険・社会福祉・介護事業」 の業種で一層高くなっており、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が見られます。
精神障害が増加傾向
令和2年度における民間雇用労働者の過労死等の認定件数は、脳・心臓疾患は194件 (うち死亡67件)と減少傾向にありますが、精神障害については608件(うち自殺 (未遂を含む)81件)と増加傾向にあります。
自動車運転従事者、外食産業で実態調査
今回の白書においては、過労死防止大綱で定める重点業種のうち、自動車運転従事者、外食産業の2分野で労災認定事案の分析やアンケートによる実態調査を実施。
自動車運転者では、トラック運転者、タクシー運転者が「賃金水準の低さ」、バス運転者が「不規則な勤務」、外食産業では、店長などが「売上・業績等」、店舗従業員が「職場の人間関係」をそれぞれストレス・悩みに挙げる人が多くなっています。
また、両分野ともコロナ禍で労働時間が減り、休日・休暇が取得しやすくなった一方で、ストレスや悩みが増えた人がいるとしています。
過労死防止大綱は昨年改定
その他、白書では昨年改定された「過労死防止大綱」の変更経緯やその内容について触れるとともに、長時間労働の削減やメンタルヘルス対策、国民に対する啓発、民間団体の活動に対する支援などの状況についても報告しています。