データバンク~「デジタル給与払い」に関する調査~
㈱野村総合研究所未来創発センターが「デジタル給与払い」に関する調査結果を公表しました。
20~59歳の正社員・パート・アルバイト (5,776サンブル) を対象に、決済アプリや電子マネーによる給与支払いの利用意向などを調査したもので、世代別では若い世代ほど利用したいと考えている人が多い結果となっています。
20代正社員で半数以上 給与額の1~2割が最多
従業員の利用意向などについて調査
賃金の支払い方法に関しては、労基法によって厳しく規制されています。現在、ポピュラーな金融機関への給与振込みも例外の一つにすぎません。しかし、社会のデジタル化が進行するなか、キャッシュレス化に対応した新たな賃金支払いの方法として注目されているのが 「デジタル給与払い」です。本調査では、スマートフォンの決済アプリや電子マネーによる賃金の支払い方法に対する従業員の利用意向などについて調査しています。
若い世代ほど「デジタル払いを利用してみたい」
調査結果によると、給与のデジタル払いの利用について、正社員の約4割、パート・アルバイトの約3割が利用してみたいと回答しています。
これを世代別にみると、正社員〔20代〕でデジタル払いを利用してみたい (給与の全てで利用+給与の一部で利用)が51.5%と最も多く、次いで正社員〔30代〕(45.9%)、正社員〔40代〕(36.5%)、パート・アルバイト〔20代〕 (34.0%)、 パート・アルバイト〔30代〕(33.0%)、正社員〔50代〕(32.2%)の順となっています。最も割合が低かったのはパート・アルバイト〔50代〕 26.0%となっており、総じて若い世代ほど利用意向を示す人が多くなっています 。
「給与額の1~2割程度」を希望する人が多い
また、給与の一部であればデジタル払いを利用したいとする人について、給与に占める割合を訊いたところ、正社員、パート・アルバイトともに「給与額の1~2割程度」が4 割弱と最も多く、次いで「5割程度」が約3 割、「3~4割程度」が2割強となっています 。
デジタル払いを利用したい理由、利用したくない理由
給与のデジタル払いを利用してみたい理由については、「銀行の窓口やATMでの現金の引き出しが面倒」(正社員49.9%、バート・アルバイト53.1%) が最も多く、次いで「電子マネーにチャージする手間が省かれるから」 (同41.8 %、同39.7%)、「キャッシュレス各種支払いまで行うことができるから」 (同37.5%、同29.4%) の順となっています。
デジタル払いを利用してみたいと思わない理由は?
なお、給与のデジタル払いを利用してみたいと思わない理由で最も多かったのは、「現金化するのに手間がかかる」(正社員36.6%、バート・アルバイト34.3%)、「不正引き出しなど、デジタルマネーの安全性に不安があるから」 (同29.9%、同31.6%) などが多くなっています。
課題は安全性か
給与のデジタル払いに関しては、従業員の利便性向上のほか、銀行振込みなどに比べて業務の効率化や経費削減が図れる可能性があるとされています。しかし、実際に給与のデジタル払いが解禁になるには、決済アプリなどを運営する資金移動業者における賃金保全などの課題がクリアされる必要があるようです。