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【判例紹介】有期労働契約の更新限度回数規定は有効と認定

    
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【判例紹介】有期労働契約の更新限度回数規定は有効と認定

2013年に改正された労働契約法により、有期労働契約の無期転換ルールが明確になりました。これにより、改正から5年後の2018年に大量の有期契約労働者が雇止めになることが懸念された『2018年問題』も記憶に新しいところかと思います。今回は、令和3年6月16日に東京地方裁判所にて判決が下った、有期労働契約の更新限度回数規定についての判例をご紹介致します。

【事案概要】電気通信事業での各種受託業務等を行う会社に、有期労働契約で働いていたX。Xは契約更新の期待には合理的な理由があり、雇止めが無効であると主張。裁判所は正社員登用制度の存在などに言及した上で、雇止めを有効とし、Xの請求を棄却しました。

雇止めまでの経緯と合理的期待について

Xは障害者雇用枠で同社に採用され、契約期間1年の有期労働契約を締結していましたが、契約更新4回目の期間満了である平成30年3月31日に雇止めとなりました。

有期契約労働者の雇止めに関しては、その労働契約が更新されることに合理的な期待がある場合には、客観的合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、雇止めが認められず、従前と同一の労働条件で有期労働契約が更新されることになっています (労契法19条2号)。

なお、この合理的期待については「当該雇用の臨時性常用性、更新の回数、雇用の通算期間、契約期間管理の状況、雇用継続の期待をもたせる使用者の言動の有無など」が考慮要素になるとされています(平成24・8・10 基発0810第2号)。

企業側の雇用制度の運用と裁判所の認定

同社では、有期雇用労働者の契約期間は、平成20年12月1日以降、原則4月1日から翌年3月31日までの1年間であり、契約の更新回数の上限は4回、契約期間は最長で5年間として運用されており、このことは就業規則においても明記されていました。

また、同社の雇用制度では、有期契約労働者は4年目または5年目に正社員等の採用募集に応募することができ、その選考試験に合格すれば正社員等に転換することが可能となっていました。同制度による有期契約労働者から無期契約労働者への採用率(合格率)は、年度によって異なるものの、概ね40%弱から50%程度となっていました(一方で、選考試験に合格することなく更新限度回数に達した、または契約期間が5年に達した者については、期間満了で雇止めとなっています)。

つまり、同社では選考試験に合格しない者に関しては、「長期雇用の適性を欠くものと判断し、更新限度回数又は契約期間の上限により契約を終了するという人事管理をしているものといえ」、「有期契約労働者は、無期契約労働者の登用試験に合格しない限りは、有期契約労働者として5年 (更新限度回数4回) を超える長期間の雇用を継続していくことは予定されていないものといえる」と裁判所は認定しています。

実際、Xは上記運用に沿った有期労働契約を締結しており、加えて平成28年度および平成29年度にエリア基幹職社員の採用募集に応募し、いずれの年度においても選考試験に合格できなかったことからすれば、本件契約が更新されるものと期待する合理的な理由があるとはいえないと判示しました。

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