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判例~育児休業明けの退職扱いについて不法行為の成立を認定~

    
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判例~育児休業明けの退職扱いについて不法行為の成立を認定~

女性の就労が当たり前になっている現代でも、育児休業を経た女性の職場復帰は、難色を示されるケースがあるようです。本件は、育児休業明けの復職が認められず退職扱いとされた保育士Xが、退職扱いは解雇権の濫用に当たり、出産から1年以内の解雇を原則無効とする男女雇用機会均等法(均等法)9条4項にも違反しているとして、解雇無効を訴えた事件です。

裁判所はXの訴えを認め、解雇に客観的合理的な理由を欠くとして未払賃金請求を一部認容し、不法行為の成立を認めて損害賠償等の支払いを命じました。

【社会福祉法人R会事件 東京地方裁判所(令2・3・4判決)】

判例の詳細と争点を見ていきます。

保育士Xと社会福祉法人双方の主張

社会福祉法人が経営する認可保育園に勤務していた保育士Xは、平成29年5月10日に子を出産し、産休・育児休業を取得しました。翌年3月9日に復職時期を5月1日にしたい旨を同法人に伝えたところ、3月23日に理事長と面談し、復職させることはできないと言われ、5月9日付で退職扱いとなりました。

Xは、本件は客観的合理的理由および社会通念上相当性を欠いた解雇権の濫用であり、また、出産から1年以内の解雇であることから均等法9条4項違反で無効であると主張し、労働契約上の地位の確認、解雇後の未払賃金や損害賠償等の支払いを求めて提訴しました。

一方の同法人は、合意退職の成立を主張するとともに、仮に解雇だとしても、Xは園長等の管理職に敵対し、園長の指示・提案に従わず、批判的言動を繰り返しており、こうした態度は、職場環境を著しく悪化させ、業務にも支障を及ぼす行為であることから解雇に至ったと主張しました。

解雇権の濫用にあたるか?

均等法9条4項は、安心して女性が妊娠、出産および育児ができることを保障するため、妊娠中および出産後1年を経過しない女性労働者を原則、解雇禁止としています。ただし、同項但書きには、妊娠又は出産に関する事由等を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでないと規定しています。

裁判所の判断は、均等法9条4項但書きは「使用者は、単に妊娠・出産等を理由とする解雇ではないことを主張立証するだけでは足りず、妊娠・出産等以外の客観的に合理的な解雇理由があることを主張立証する必要があるものと解される」 とした上で、同法人が主張する「Xが園長の保育方針や決定に対して質問や意見を述べたことや、保育観が違うということをもって、解雇に相当するような問題行動であると評価することは困難」とし、また、Xには十分な改善の機会も与えられていなかったとしました。

判決は、本件解雇は権利の濫用に当たり無効であることに加え、均等法9条4項に違反するとして、同法人に不法行為責任が成立するとしました。

Xが子の保育所入所を決めて復職を申し入れたにもかかわらず、直前に復職を拒否された結果、子の入所も取り消されており、「Xが大きな精神的苦痛を被ったことが認められ、それは賃金支払等によっておおむね慰謝されたとみることは相当でなく、慰謝する金額として30万円を認めるのが相当である」とされました。

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