実務相談 外国に住んでいる両親を健康保険の被扶養者として認定は受けられますか?
Q:外国人社員の両親の被扶養者認定は受けられるでしょうか?
このほどアルバイトに来ていた外国人留学生を卒業後、社員として採用することにしました。そのため、在留資格の変更手続きなど、採用準備を進めるなかで、その彼から母国の両親を健康保険の被扶養者にしてほしいという申出がありました。現在、両親にはほとんど収入がないそうで、入社後は毎月、彼が仕送りをして扶養するということです。両親の被扶養者認定は受けられるでしょうか。
A:母国に居る両親は国内居住要件を満たさず不可
被保険者の収入で生計を維持している家族は、被扶養者として健康保険の給付が受けられます。ただし、家族なら誰でも被扶養者として認められるわけではなく、一定の要件を満たす必要があります。
今回の場合、被保険者となる外国人留学生の両親についてですから、直系尊属ということで同居の必要はなく、被保険者による生計維持関係や両親の収入要件なとに問題がなければ被扶養者と認められそうに思われます。しかし、健康保険法の改正によって2020年4月からは、扶養の認定に国内居住要件が追加されました。この国内居住要件とは、住民基本台帳に住民登録されていることが要件になります。ですので、母国にいる両親を健康保険の被扶養者とすることはできません。
なお、国内居住要件には、海外特例要件という例外規定が設けられています。
具体的には以下の①~⑤に該当する場合には、一定の手続きを行うことで、日本国内に住所がないとしても、日本国内に生活の基礎があると認められる者として、国内居住要件の例外として取り扱われることになっています。
①外国において留学をする学生
②外国に赴任する被保険者に同行する者
③観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的での一時的な海外渡航者
④被保険者の海外赴任期間に当該被保険者との身分関係が生じた者で、②と同等と認められるもの
⑤①から④までに掲げられるもののほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者。