実務相談~雇用義務のある障害者雇用人数について~
Q:現在の従業員数は40人ですが、事業が多角化し年内には新しい営業所を開設するため5人増員し、全員で45人となる予定です。先日、同業他社の社長から会社が一定規模以上になると、障害者雇用率制度によって法的に障害者の雇用が義務づけられることになると聞きました。従業員が増加した場合、障害者の方を何人雇う必要があるのか、またその算定方法についてご教示ください。
障害者の雇用義務の人数とは?計算方法は?
A:障害者雇用促進法では、障害者雇用制度を定めて、民間企業や国、地方公共団体などに対して常時雇用している労働者に一定の障害者雇用率を乗じて得た数以上の障害者を雇用することを義務づけています。令和3年3月1日から、民間企業における障害者の法定雇用率は、2.3%となっており、自社で何人の障害者を雇用する必要があるかは、次の計算式で求められます。
【 障害者の雇用義務数 = (常用労働者数 + 短時間労働者数×0.5)×障害者雇用率(2.3%) 】
※常用労働者とは、週所定労働時間が30時間以上の人、短時間労働者とは、週所定労働時間が20時間以上30時間未満の人になります。
- 常用労働者(45人の場合)⇒ 45×2.3% = 1.035(小数点以下の端数は切り捨て)障害者雇用義務人数は1人。
- 常用労働者/40人、短時間労働者/5人の場合⇒(40+5×0.5) ×2.3% 0.9775。障害者の雇用義務は無し。
なお、道路旅客運送業、医療業、建設業など障害者の就業が困難と認められる業種については、常用労働者数から一定率の労働者数を差し引くことができる除外率が適用される場合がありますので、ハローワークで相談してみるとよいでしょう。
障害者を雇用する義務があるにも関わらず、これを果たさない場合、行政指導を受けたり、企業名が公表されたりすることがありますので、注意する必要があります。