増加するフリーランス。その実態とは?~意識・実態調査~
今や、日本のフリーランス人口は、総人口の10%を優に超え、その数1500万人以上とも言われる時代。
多様な働き方の推進とコロナ禍という情勢も重なり、今後もフリーランスという選択をする人が右肩上がりに増加していくことが予想されます。
日本労働組合総連合会(連合)が、「フリーランスとして働く人の意識・実態調査2021」の調査結果を公表しました。(調査対象:フリーランスの20~59歳の男女1,000人)
取引先との契約状況や仕事上のトラブル、フリーランスという働き方の満足度などについて、その実態を見ていきましょう。
契約内容の明示等にみるフリーランスの置かれる環境の現状
多様な働き方の一態様であるフリーランスについては、ギグ・エコノミーの担い手として、また、新たな高齢者の働き方として期待されており、国としてもフリーランスが安心して働ける環境整備を進めようとしています。
本調査からフリーランスの仕事の受注方法をみると、顧客や友人、フリーランス仲間からの紹介など、さまざまなネットワークを活用したものが多くなっていますが、主要な取引先事業者からの書面による契約内容の明示状況では、「必ず明示がある」は約3割にとどまっており、「明示がない時もある」 (45.5%)、「明示があったことはない」 (24.6%) は合わせて約7割にのぼっています(図表1)。
このように多くの人が明示的でない契約内容で仕事を受注しており、このことが取引先事業者とフリーランスとの間でトラブルになりやすい状況を生んでいると考えられます。
この1年間での仕事におけるトラブルの経験の有無では、約6割が「経験しなかった」と答えているものの、約4割の人が「経験した」としています (図表2)。
仕事内容別にみると、トラブルを経験した人は、クリエイティブ関連 (47.4%)、コミュニケーション関連 (47.6%) でそれぞれ半数近くとなっています。
トラブルの経験者 (397人)にその具体的内容を聞いたところ、「報酬の支払いの遅延」と「一方的な仕事内容の変更」がいずれも29.5%と高く、次いで「不当に低い報酬額の決定」 (26.4%)、 「一方的な継続案件の打ち切り」 (25.7%)、「報酬の不払い・過少払い」 (23.4%) の順となっており、報酬をめぐるトラブルが多いといえます。
また、「納期や技術的になど無理な注文」(22.4%) や 「作業開始前の一方的な仕事の取消し」 (20.9%)、 「一方的な報酬額の引き下げ」 (20.2%) なども2割程度あり、弱い立場に置かれているフリーランスの苦境が浮き彫りとなっています (図表3)。
仕事内容により異なる「満足度」
最後に、フリーランスとしての働き方の満足度ですが、仕事全体的には「非常に満足している」 (13.3%) と 「やや満足している」 (38.1%) の合計は51.4%と半数を超え、「全く満足していない」(4.3%) と「あまり満足していない」 (10.1%) の合計は14.4%となっています。
仕事内容別には、暮らし・学び関連 (62.1%)とコミュニケーション関連 (64.3%) では6割超が満足しているとなっているのに対し、ものづくり・ものはこび関連 (38.5%) では4割未満にとどまっており、フリーランスとしての働き方の満足度は仕事内容により格差のある実態が明らかとなっています。
引用:日本労働組合連合会(連合)「フリーランスとして働く人の意識・実態調査2021」をもとに、当社でグラフ作成