働き方改革の実務について~待遇決定に関する説明義務の強化~
正規社員と非正規社員(パート、有期雇用者、派遣労働者)間の待遇格差の是正に向けた同一労働同一賃金の取組みでは、非正規社員への待遇に関する説明義務が強化されています。
今までは、雇用形態ごとの対応でしたが、非正規社員すべてで説明義務が統一されるように整備されています。
今回は、非正規社員(パート、有期雇用者、保険労働者など)への待遇決定に関する説明義務について確認していきましょう。
非正規社員への待遇決定に関する説明義務の現状
有期雇用労働者については、働き方改革関連法の施行後、パートタイム労働者、派遣労働者と同様に、雇用管理上の措置の内容、処遇決定に際しての考慮事項などの説明が義務化されました。
さらに、パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者の非正規社員から説明を求められた場合、正規社員との待遇差の内容・理由などについて説明することが新たに義務化されています。(パート・有期労働法14条、派 遣法31条の2)。
これまでの待遇に関する説明義務は、パートタイム労働者、派遣労働者については、雇用管理上の措置の内容、待遇決定に際しての考慮事項などについて説明義務が課されていまし たが、有期雇用労働者については法的規定がなく、説明内容は基本的に「本人の待遇」に関することのみで、正規社員との待遇差の内容やその理由についての説明義務もありませんでした。
非正規社員への待遇に関する説明義務の内容とは?
事業主は、パートタイム労働者、有期雇用労働者を雇い入れた場合、下記の通り労働者本人へ説明をしなければなりません。
- 待遇の差別的取扱い禁止
- 賃金の決定方法
- 教育訓練の実教育訓練の実施、
- 福利厚生施設の利用
- 通常の労働者 への転換を推進するための措置
なお、説明方法は、就業規則、賃金規程などの資料を活用し、口頭で行うことが原則ですが、説明すべき事項が漏れなく記載され、容易に理解できる内容の文書交付などによる方法も認められています。
派遣労働者への待遇に関する説明義務の内容とは?
派遣労働者を雇い入れた場合には、派遣会社が、労働者本人に対しての説明義務があります。(派遣先均等・均衡方式あるいは労使協定方式に準じる)
- 労働条件に関する事項の明示
- 派遣労働者の不合理な待遇の禁止に関する派遣会社の措置の内容説明
なお、派遣労働者はパートタイム労働者や有期雇用労働者と違って、原則として雇い入れ時と派遣時開始とともに、書面にて同様の説明を行う必要があります。
非正規社員から説明を求められた場合は?
事業主は、パートタイム労働者、有期雇用労働者から待遇決定に関する説明を求められた場合には、雇い入れ時の説明内容と同じく、1〜5の考慮事項とする内容と下記の3項目を加えた説明する義務があります。
- 労働条件 の明示、
- 就業規則作成・変更時の意見聴取、
- 不合理な待遇の禁止について
このように、事業主が非正規社員すべてへ待遇決定に関する説明義務が統一されるように整備されています。