実務相談~育児短時間勤務と育児時間の制度ついて~
仕事と育児の両立を支援定めている法定は様々ですが、今回は「育児短時間勤務制度」と「育児時間」について、実務相談の内容をふまえてみていきましょう。
”育児短時間勤務制度を利用し勤務している、1歳未満の子をもつ女性従業員がいます。その女性従業員から育児時間を取得したいという申し出がありました。 育児短時間勤務制度を利用し、所定労働時間を1時間短縮し勤務時間を6時間としています。今回は、現在の終業時刻を30分繰り上げて4時半にして欲しいというものですが、 仕事の都合上、1時間半の短縮は厳しいのですが、認めなければいけないのでしょうか。
育児短時間勤務・育児時間の制度内容とは?
「 育児短時間勤務」と「育児時間」は法定の制度です。それぞれの制度内容について確認しておきましょう。
「育児短時間勤務」は育児介護休業法23条1項に定められた制度であり、以下の場合が対象となります。
- 3歳に満たない子を養育する労働者であること
- 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
- 日々雇用される者でないこと
- 短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業をしていないこと
- 労使協定により適用除外とされた労働者でないこと
こうした要件を満たす従業員から申し出があった場合には、短時間勤務制度を利用できるようにする必要があります。
短時間勤務制度では、1日の所定労働時間を原則6時間とすることを含むとしなければならず、その上で1日の所定労働時間を7時間とすることや隔日勤務等の所定労働日数を短縮する措置などもあわせて設けることは、労働者の選択肢を増えるとして望ましいとされています。
「育児時間」は労基法67条1項におい て、1歳に満たない子を育てる女性労働者は、 休憩時間の他に1日2回それぞれ少なくとも30分の育児時間を請求することができることをいいます。休憩時間のように労働時間の途中で取得する定めはありませんが、どの時間帯に育児時間を利用するかは労働者本人の判断に委ねられています。また、育児時間はもともと授乳の為の時間を想定して定められたことから、対象は女性に限られています。
しかし、現在は授乳に限らず、広く育児全般に関する世話のために要する時間でも認められるものとされていますので、現在の男性の育児参加が求められている状況を考えれば、育児時間の取得の対象に男性も加えるべきという主張もでてきています。
根拠が異なり請求があれが付与が必要
この2つの制度は、仕事と育児の両立支援という意味では共通していますが、それぞれの制度の法律的な根拠は異なるため請求があれば付与する必要があります。
一方を利用する場合には、もう一方が制限されるような定めもないことから、短時間勤務制度を利用している女性従業員が請求してきた場合には、労基法に基づく育児時間も併せて付与する必要があり、今回の相談にあるような終業時刻に接着した育児時間の請求も使用者は拒むことはできないということになります。